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32cm。

 

  見上げれば、あいつの顔が目の前にいた。

  リツは、そばの男を見ながら、ちょっと眉をひそめた。彼らは、座っても目線の高さがあわなかった。

  「ねぇ、分かるかしら?あたしの気持ち。」目をそらして、リツは答えを求める衝動を抑えた。

  きっとわからないから。

  32cm、それは二人の身長差。デートの時に周りの人が「兄妹ですね」と言われることがよくあった。会話をする時ずっと見上げた。手をつなぐことも難したった。色々こまることがあった。

  年の差あったから身長差もあった。年の差はどうしようもない、せめて身長を追いつけたかった。

  32cm。

  どんなに親指と小指を拡げても、手の幅も満たさない長さ。

  どんなに背伸びも目線が同じ高さで合わない距離。

  肩を並べて歩く時、「理想なカップルだな」と、人をそう思わせたかった。

  ルークは、彼の気持ちを気が付いたみたいに「どうした?」といった。リツはただ「なんでもない」とこたえた。

  早く大人になりたい。

  リツはこんな気持ちを隠して、恋人の肩に寄り添った。

REPLAY

 

  「もう一回。」

  MP3プレイヤーのリピートを押した、同じ歌が再び流れてくる。

  「え?」

  お前は『何をしてる』な顔をしてながら俺を見上げる

  それはお前の歌から。俺はふいに微笑んでいる。

  「じゃ、あたしはね、」

  次の歌おわる前に声を聞こえる。お前もきれいな笑顔を見せてくれ。

  「この歌をもう一回。」

  「これか…」

  それは俺の歌だ。俺はちょっと恥ずかしく笑った。

  恥ずかしながらめちゃ嬉しい。

  『こいつはおれと同じ気持ちがある』ということだけだ。

  「飽きないから。」

  お前はそう言った。俺「俺も。」とこたえる。

  飽きずから。

  大好きな人、大好きな声。

20141006

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